近年、AIの発展が目覚ましく、私たちの身の回りにもAIを搭載した製品やサービスが充実してきました。そのようなAIを学んで活用できるようになりたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、「プログラミング経験がない自分には難しい」「働きながら勉強するのはちょっとキツい」と諦めている人も少なくないと思います。
そこで今回はキカガクの「AI人材育成長期コース」で社会人として働きながらAIを学んだ私の体験談についてお伝えしたいと思います。
AI人材育成長期コースの概要
目標 | データサイエンスの基礎知識と実践経験を有した、データ分析・AIモデル構築を実践できる人材を目指す |
概要 | データ分析、機械学習、ディープラーニング、ウェブの基礎を学び、最終的には自作のWebアプリケーション開発に取り組む |
期間 | 半年 |
料金 | 給付金なし 792,000円(税込み) 給付金あり 237,600円(税込み) |
受講前の自分
私は某メーカーで研究開発を行っている社会人です。普段から画像や波形データを解析する業務を行っていましたが、昨今のAIの発展を目の当たりにして、この業務もAIにより自動化できるのではないかと考えていました。
ただ、当初はプログラミン経験はなく、またAIに関する知識もない状態でしたので、プログラミングの基礎から勉強する必要がありました。本やWeb情報だけでは体系的に学ぶことは難しいですし、プログラミングでつまった時に誰かに相談したいと考え、プログラミング教室を探すことにしました。
プログラミング初心者向けの教室はかなり多いのですが、まずはWeb上の口コミを確認しながら、いくつかの無料相談会に参加しました。
無料相談会
キカガクの無料相談会はオンライン上で行われ、「AI人材育成長期コース」の概要、受講の流れ、専門実践教育訓練給付金制度、転職支援制度等について説明を受けることができます。
内容はわかりやすかったのですが、集団説明会であったため、個人的な質問や突っ込んだ質問はできず、その後、個別相談会の案内があったため、そちらに参加しました。
個別相談会では、聞きたいことを納得いくまで聞くことができるのでオススメです。ただし、集団説明会で概要説明を受けていることを前提としていますので、まずは集団説明会に参加してから、個別相談会に参加するのがよいかと思います。
相談内容
Q. プログラミング経験やAI知識はほぼゼロですが大丈夫でしょうか?
A. 事前に「Python&機械学習入門コース」を受講しますので、そこで基礎力をつけることができます。
Q. AIに関する知識や実装力を身につけ、現在の業務に活かすことができますでしょうか?
A.「AI人材育成長期コース」にてAIアプリ作製を行うため、現在の業務にあったAIアプリを講師と相談しながら作成できます。
Q. 社会人としてプログラミング教室に通うことができるか不安です。
A. 動画視聴が主体であるため、空き時間等で効率的に学習を進められます。また、「メンタリング日」は章末問題の解説があり、モチベーションの維持にも繋がるので出席が望ましいですが、当日の録画が後日アップされるので、業務上の都合で欠席しても問題はありません。
Q. 環境構築の必要はありますか?
A. Google Colbを利用するため、基本的にはどのような端末でも学習可能です。
後半のAIアプリ作製の際にWebスクレイピング等を利用する際にはローカルPCを使う場合もあります。講師の方は基本的にMacを利用されているようでしたので、そちらに合わせる方が良いかと思いますが、私はWindowsでしたが、特に問題はありませんでした。
その他、給付金の申請手続きや学習スケジュール、学習の進め方、転職サポート等細かい点についても詳細に説明いただきました。
AI人材育成長期コースのメリット・デメリット
いくつかのプログラミング教室の無料相談会を受けて、「AI人材育成長期コース」のメリットとデメリットを挙げ、最終的にこちらを受講することに決めました。
メリット
キカガクの「AI人材育成長期コース」は他の教室と比べて以下の点で優れていると感じました。
- 短期間で詰め込むよりも、長期間かけて知識や技術を自分に落とし込むことができる
- データ取得からAIアプリ作製までの一連の流れを学ぶことができ、実践的な内容である
- 視聴期間に制限がなく、学習内容を見返すことができる
- 約30のコースを全て無料で受講できる特典がつく(受講後も継続的に学習できる)
- 卒業後もコミュニティで定期的に開催されるイベントに参加できる
- JDLA認定プログラムであり、E資格の取得に挑戦することも可能である
個人的には「AI人材育成長期コース」の最大のメリットは「一生学ぶことができる」ことだと思っています。他のコースを無料で受講できますし、卒業生コミュニティで定期的にイベントが開催されますので、卒業後もずっと学び続けられる点がよかったです。
デメリット
最後まで悩んだのが料金です。「AI人材育成コース」の料金は専門実践教育訓練給付金を利用でき、最大で70%OFFとなりますが、それでも237,600円(税込み)。正直、非常に高いです。
しかし、メリットでも挙げましたが「AI人材育成長期コース」以外の約30のコースを全て無料で受講できる特典がつくことを考えると、総合的にはコスパが高いのではないかと考えました。
コースは随時追加・更新されており、最新技術をずっと無料で学び続けられることを考えると、かなりお得です。
実際に私は「E資格対策コース」と「E資格事前確認テスト」を受講することでE資格を取得しまし、他にも「画像処理特化コース」や「自然言語処理特化コース」、「Azure OpenAI コース」を受講し、最新技術を常に学び続けています。
「できれば、入会前に知っておきたかった」情報
メリットにも挙げたように「AI人材育成長期コース」はJDLA認定プログラムではありますが、本コースはE資格試験の出題範囲を完全にはカバーしてはおらず、また本コースを受講後にE資格受験資格を得られるわけではありません。
本コースでカバーできていない部分は、「E資格対策コース」で別途学習する必要があり、E資格受験資格は「E資格事前確認テスト」を全問正解することで得ることができます。
詳細はこちらのブログでも紹介していますので、E資格取得も考えている方はチェックしてみてください。
受講開始まで
さて、無事に教室を決めることができましたが、すぐに「AI人材育成長期コース」の受講が始まるわけではなく、受講開始までにいくつか実施することがありました。
専門実践教育訓練給付金の手続き
「AI人材育成長期コース」は第四次産業革命スキル習得講座に認定されており、専門実践教育訓練給付金を受けることができます。これにより受講料が最大で70%OFFになります。
申込みフォームで「AI人材育成長期コース」を購入すると、請求書が添付されたメールが送られてきます。その後、すぐに振込を行うのではなく、まずは給付金に関する手続きを行うことになります。
まず、訓練対応キャリア・コンサルタントによる訓練前キャリア・コンサルティングを受け、「ジョブカード」を交付してもらう必要がありましたので、コンサルティングの予約を行い、必要書類を準備しました。詳細は以下サイトを参考にしました。
その後、「ジョブカード」と「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」をハローワークに提出しました。
この手続きは受講開始日の1ヶ月前までに行う必要があります。
書類を作成したり、コンサルティングを受けたりするのに意外に時間がかかるので注意!
「Python&機械学習入門コース」の受講
給付金手続き終了後に振込で入金しました。
入金確認のメールを受け取った後、すぐにキカガクが提供する全コースの動画を視聴できるようになりますが、まず初めに「Python&機械学習入門コース」を受講することになります。
こちらは機械学習で必要となる数学やプログラミングの基礎を一通り学ぶことができるコースで、これを受けることでスムーズに「AI人材育成長期コース」に入っていくことができます。
尚、「Python&機械学習入門コース」の受講は結構時間がかかりましたので、入金は早めに行い、開講の1ヶ月前には「Python&機械学習入門コース」に着手したほうがよいです。
入金のタイミングが遅いと、「Python&機械学習入門コース」を視聴完了する前に「AI人材育成長期コース」が開講してしまい、消化不良に陥る可能性があります。
実際に開講時に「Python&機械学習入門コース」が終了していない受講者の方は出遅れてしまったため、取り戻すのにかなり苦労されている様子でした。
AI人材育成長期コースについて
カリキュラム
「AI人材育成長期コース」は前半3か月で機械学習・ディープラーニングの基礎から実装までを学び、後半3か月で自分で考えたAIアプリを実装します。
つまり、前半で知識・技術を身につけ、後半でそれを実践する形となっており、プログラミングを効率よく習得できるようにカリキュラムが構成されています。
前半3か月
前半は基本的に講義動画を視聴して学習を進めます。動画は講師の方が演習に沿ってプログラミングを行う内容になっているので、私も動画に合わせて実際にプログラミングしながら受講しました。
ディスプレイを2つ用意し、2画面(動画再生用とプログラミング用)で受講すると効率的に学習できます。
下図はパソコン画面上の講義資料ですが、右上に動画、左側に講義資料が配置されており、資料と動画の両方を確認しながら学習を進められます。
さらに各セクションの最後には章末問題が設けられています。
この章末問題は正解・不正解は示されますが、解答は表示されない仕様になっているため、正解するために何度も講義資料に戻って試行錯誤しながら問題を解くことになります。このおかげでかなり深く内容を理解できたと思います。
また、章末問題の解説は週に一度開催される「メンタリング日」で行っていただけます。
「メンタリング日」は章末問題の解説だけではなく、講義動画にはなかったプロの技術を教えてもらえたりするので、非常に勉強になりました。
後半3か月
後半は講義動画こそありませんが、これまで学んだ技術を使って、独自のAIアプリを作成することになります。
実際にAIアプリを作成しようとなると、様々な問題に直面し、講義資料やWeb情報を調べることになるので、実践力がどんどんとついていきました。
どうしても解決できない問題については、「メンタリング日」に担当講師と1on1で相談したり、slack上で質問したりすることで解決できました。
後半3か月はかなり悩むことが多いですが、講師がちゃんと寄り添ってくれます。
一番成長を実感できる期間だったと思っています。
講師の質
「AI人材育成長期コース」では担当講師がつき、その講師が半年間サポートしてくれます。私はすべての講師の講義を受けたわけではないのですが、私の担当講師はデータエンジニアとして第一線で活躍されている方でした。
どんな質問にも懇切丁寧に回答いただけましたが、データエンジニアの現場や必要なスキルについても教えていただけました。特にデータエンジニア業界へ転職を希望する方には非常に参考になる情報だったと思います。
また、「AI人材育成長期コース」では最終成果物としてAIアプリを作製することになりますが、その際にも作成したコードを添削し、より実践的で簡潔なコードや便利なツールを教えてくれたため、非常に満足しています。
フォローアップ
分からない部分や、エラーで躓いてしまったときに、利用していたフォローアップ制度について紹介します。
メンタリング日
週に一度開催される「メンタリング日」では担当講師が、受講者が内容を理解できているか確認し、1on1を通してフォローしてくれます。
私は分からなかった部分を書き溜めて、この場で担当講師に直接質問していました。講師にパソコン画面を共有して「この部分がわからないです」と相談する場面が多かったです。
Slack
また、Slack上で講師に直接質問することもできます。
「メンタリング日」は週に一度しか機会がないため、どうしてもエラーで次に進めない場合には、こちらを利用していました。
ディスカッションフォーラム
動画学習プラットフォーム上に設けられた「ディスカッションフォーラム」で質問することも可能です。この場合、担当講師以外の講師も対応してくれます。
「ディスカッションフォーラム」には過去の受講者の質問も閲覧できるため、同じ質問内容を探して、それを参考にさせていただく場合が多かったです。
コミュニティ
受講生同士が交流する場としてSlackを使用した2つのコミュニティがあります。
開催月コミュニティ
同期と担当講師のみが参加できるクローズドなコミュニティです。基本的には「AI人材育成長期コース」受講時に使用します。躓いた内容について担当講師に質問することもできますが、受講者間で共有することで、既に解決した受講者が答えを教えてくれたりします。
モチベーション維持のために受講者同士で特定の時間に集まって勉強する「もくもく会」も企画されたりします。
卒業生コミュニティ
卒業生のみが参加できるクローズドなコミュニティです。定期的な勉強会や不定期なイベントが開催されます。
他の卒業生の方と一緒にコンペに参加したり、資格や転職について情報交換したりできます。
受講時に工夫した点
定時で帰宅する日を宣言
私の場合、「メンタリング日」が毎週水曜日18:30からの開催で、通勤時間も考えると、ばっちり定時に帰宅する必要がありました。
そこで予め職場内に水曜は定時で帰宅することを宣言しました。周りに伝えておくと、職場の方もそれを考慮してスケジュール調整してくれるため、双方にとって良かったと思います。
それが難しい方は土曜日に「メンタリング日」が開催されるコースも選択できます。
勉強時間の確保
章末問題を解くようなアウトプット学習に関しては、まとまった時間を確保しておいた方が良いと思います。
私は休日の朝5時くらいから家族が起きてくるまでの2~3時間を勉強時間として確保しました。
開講までに受講を進めておく
週に一度の「メンタリング日」を最も有効に使うためには、それまでに章末問題にトライしておくことが理想です。
ただ、仕事や家庭の事情で、講義日までに章末問題まで学習を勧められない場合が結構あります。
週末に学習を進めて、水曜日に「メンタリング日」を迎える一週間はかなり忙しいため、一度学習が遅れてしまうと、これを取り戻すのは結構大変です。
そこで私は「AI人材育成長期コース」が開講する前に、できる限り受講を進めておきました。これにより、「メンタリング日」は復習の場となり、講師の解説に集中できますし、仮に忙しい週があっても、遅れをとることはありませんでした。
最終成果物のイメージを早めに講師と共有する
実装する能力を示すために最終成果物として機械学習やディープラーニングを組み込んだAIアプリの提出が必要になります。
ただ、実装できるだろうと思っていた内容が想像以上に難易度が高かったり、ディープラーニングを用いなくても実現可能だったりする場合もあります。
そうならないために私はアプリのイメージが掴めた段階で早めに講師と擦り合わせを行いました。講師も受講者の実現したい内容を早めに把握できれば、早い段階でアドバイスや修正を行えますし、受講者側も最終成果物のイメージを持ちながら学習すれば、理解が進みやすいという利点もあります。
先輩としてのアドバイス
プログラミング経験やAI知識がほとんどない方には「AI人材育成長期コース」はとてもオススメです。
データ取得からAIアプリ作製までの一貫の流れを学ぶことができ、内容はかなり本格的ですが、短期間で詰め込むのではなく、長期間かけて知識や技術を自分に落とし込むことを目的としているので、初学者にはかなり優しい構成になっていると感じました。
「AI人材育成長期コース」のメリットは「一生学ぶことができる」という点でしょう。本コース終了後も様々なコースを無料で受講できますし、コミュニティで開催されるイベントに参加することで、卒業生と一緒に様々な分野の勉強が可能です。
デメリットはやはり料金でしょう。ただ、一生学ぶことができることを考慮すれば、コスパは高いかと思います。
個人によって様々な事情があるかと思いますし、また給付金を受けられるかどうかも重要かと思います。まずは無料相談会で直接相談してみてください。
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